コラム
06. 方針説明…誰のための演説?
ある程度、管理体制のしっかりした会社では、各現地法人でも方針説明の機会を持っています。
ここで気になるのは、現地従業員の反応。というか従業員の反応、気にしてチェックしていますか?
「よく分からん」「なんでオレたちまで参加せなあかんのや」なんて心の声が多数だったら、熱心に方針説明すればするほど逆効果、ということにもなりかねません(いやいや、石の上にも三年だ、という方は、同じことを成長期の子供に続けた結果をイメージしてみてください)。
実際、朝礼にお邪魔してお話を伺うと、グローバルな市場環境の話や各種重要指標の説明・比較などが続きます。正直、「自分がこの話を聞く意義を理解できる人は、10%もいるかしら」と考えてしまいます。
現地幹部が理解できないのは問題です。彼らは自ら関心を持ち、課題意識を持って方針説明を聞く必要があります。しかし、それ以外の大多数の従業員については、理解できないのは彼らではなく経営者の責任です。彼らの給与や職務要件にも、方針理解の分は入っていないでしょう。
方針説明を行うなら、まずは本人たちに重要性や意義が理解できる内容に絞る。伝え方も彼らが理解したり興味を持ったりできる形に調整する。もっと知りたい人には別の形で機会提供する。伝わってナンボですから、伝える工夫が大事です。
そもそも方針や目標を従業員と共有していない、という経営者の方は、すぐ改めることをお勧めします。そのままでは組織が成長しません。
2018.09 BizChina誌
この記事を書いた人
多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。