コラム

10. 管理者研修は任意参加・学習支援で

2019年06月04日
人事労務は海外経営の基礎

前回は安全や就業規則など、対象者全員に理解させたいことは義務教育で、という話をしました。参加を強制し理解度や習熟度をチェックして、必要であれば再受講や再テストも受けさせる。そのかわり、これらの時間は業務として扱います。

一方、管理者や等級上位者に対する研修は、任意参加とします。なぜなら、彼らは業務成果や業務への取り組みにより任免・昇降格される立場。研修に参加しなくても高評価を得られる領域なら参加不要ですし、本人に課題意識があれば会社は学習機会を無償提供します。

こういう位置づけですから、平日の時間外や土日にかけて研修を設定します。「土日にやって代休はないの?」という管理者には、「一切ない。そして参加は自由。不参加でも不利益は一切ない」と伝えます。

経営者としては、彼らが実際に成果を出したり、役割を果たしたりしてくれれば文句はありませんので、研修に出なくても、やるべきことをやり高評価を取れば、それでオーケー。一方、低評価にもかかわらず学習機会を放棄して交代や降格に遭えば、それは自己責任です。

任意参加にすることで、参加率や参加態度の問題も一掃できます。参加率は気にしなくて結構。イヤイヤ参加する受講者が減れば、場の空気も建設的になります。ですから、不参加でも本当に不利な扱いはしません。管理者研修の成果は、彼らの人事評価の関連項目の点数がどう上がっているかで判断します。

2019.01 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。