コラム

14. 赴任早々は3か月間じっと観察する

2019年07月30日
人事労務は海外経営の基礎

4〜5月は新任駐在員が多い季節。以前は、社内の歓迎会で干杯攻勢にさらされて撃沈した皆さんがホテルへ担ぎ込まれる姿も一種の風物詩でした。最近は減ってきましたね。

駐在員の交代時期は、社内政治が大きく動く時期でもあります。労使交渉で大きく吹っかけてきたり、これまで冷や飯を食ってきた社員が一発逆転をかけて近寄ってきたり、裏番長格の部下がマウントポジションを取ろうと陰に陽に戦いを仕掛けてきたりします。

受け身の戦いだけでなく、新任駐在員の方から動かす場合もあります。前任者の路線をいきなり否定する、自分が他国で経験したやり方をいきなり導入する、部下たちの仕事の仕方を次々と指摘・批判して回る……。

これらのやり方が間違っているというわけではありませんが、扱ってきたトラブル事例は少なくありません。深刻なケースでは、前任者が五年掛けてようやく築いた黒字体質を、後任者が一年で叩き潰して赤字に転落させ、即刻帰任させられたということもありました。

駐在員の交代前後から一年間は、いろいろ気をつけるべき時期であることは間違いないと思います。

具体的な注意事項は改めて書きたいと思いますが、まずお勧めするのは、「いろいろ感じるところはあっても、まず3か月間はじっと観察する」ことです。この時期に労使交渉など意思決定を迫られることに直面した場合、極端な路線変更は慎重に行います(問題が生じても断行せざるを得ない情況がある場合は別ですが)。

2019.05 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。