コラム
24.特別号 新型肺炎の厳戒下で学んだこと
前回の原稿を書いた12月末から、世界が一変してしまいました。皆さんがこの原稿を読まれるころ、街はどんな様子でしょうか……。
今回は特別号として、猛威を振るった新型肺炎の厳戒下で私が感じたことを書きます。それは「ビジネスのリスク対策は硬直して考えてはいけない」ということ。
日本企業はここ数年、コンプライアンスを強化してきました。これに働き方改革も合わさって、会社PCでしかメール受信できない、転送不可、PCは持ち帰り禁止、社外ネットワークにつなげないといったセキュリティと隠れ残業の対策を進めました。結果、今回の新型肺炎のような特殊事態が発生すると、在宅勤務のように柔軟なチーム活動ができないという事態が進行しました。
どちらかを重視すればいいというものではありませんが、私個人としては、経営のリスク管理という大きな枠で考えると、視点の偏りや思考の硬直があったように感じます。視野狭窄と言えるかもしれません。
肺炎騒動の前に訪問した日本のベンチャー経営者は、「ウチは先端的な技術開発支援をしているが、頭脳は中国人社員たちに依存している。もし、彼らを日本の大企業のコンプライアンスや規則で縛ったら、世界中に散らばり自由に活動している突き抜けた人材を使うことなどできない。愛想を尽かされる。漏洩の心配をする以前に、その対象となる付加価値を創出できなくなることを懸念しないと」と言っていました。今回の厳戒下でこの話を思い出した次第です。
2020.03 BizChina誌
この記事を書いた人
多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。